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シャイニーストッキング

第11章 絡まるストッキング10     連休最後の2日間…

 1 武石健太(1)

 時系列は少し遡ります…


 8月13日 午後3時過ぎ…

「ふうぅ…」

 俺は東京駅に帰ってきた…

 しかも、行きと違い、一人で…

 実は…
 俺は8月11、12、13日と2泊3日で、蒼井美冴さんと付き合う前の一応の彼女である山本美和(454ページ参照)と京都旅行に出掛けていた。

 そしてその京都旅行は彼女、美和にとっては初めての俺との旅行であり…

 俺にとっては…
 美和との別れの清算の為の京都旅行であった…

『健太さんも色々あるんだろうけど…』

『綺麗に片付けてね…』

『信じて待ってるからね…』

 と、まるで女神の様に理解のある美冴さんのそんな言葉に…
 いや、その美冴さんを裏切らない様にとの為の…

 はずだったのだが…

 はずだったのだが、いや、結果的にキレイに清算はできたのだが…

 だけど…

 キレイに清算されたのは俺の方であったのだ。



 ………「健ちゃんおはよう」
 8月11日朝、俺と山本美和は東京駅で待ち合わせをし、新幹線に乗って京都に向かった………

 そして彼女、美和は…

「実はね、京都旅行って初めてなの…」

「え…、だって修学旅行とか…」

「うん、実はね、中学時代の修学旅行が京都、奈良だったんだけどさぁ…
 間抜けなことにさぁ、インフルエンザになっちゃって行けなかったのよ…」

 そして高校時代の修学旅行は沖縄で、その後、なぜか京都には縁がなくて行けてなかった…
 と、話してきた。

「だからさぁ、京都旅行行くなら好きな人と…ってさ」

 美和はバツイチであった…

「前の夫は海外旅行派だったし、途中からは旅行どころじゃ無くなっちゃったし…」

 元夫の不倫が原因で離婚したそうだ…

「だからさぁ、楽しみでぇ…」
 美和は満面に笑みを浮かべて話してくる。

「あ、あぁ、そうなんだ…」

 そして俺は、美和とキレイに清算する為の最初で最後の旅行のつもりであったので…

 胸が痛んで…

 心苦しくなっていた…

「うん、だからぁ、チョー嬉しいの…
 でね、今回の京都観光コースはさぁ、モロ修学旅行バージョンにしたからさぁ…」

 本当に美和は楽しそうな笑顔を見せてくる…

 反面…

 俺は針のむしろに座っているみたいであったのだ…





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