シャイニーストッキング
第14章 もつれるストッキング3 常務取締役大原浩一
88 秘書 松下律子(16)
「ええ、常務が戻るまでは酔う訳にはいかないし…
それに、万が一ほろ酔いになってしまって青山さんに口説かれないようにもしないとね」
わたしは敢えてストレートにそう答える。
「え、あ、それは複雑だなぁ」
そしてわたしの深層が…
これから先の東京本社での事を考えると、彼を無下に、粗末にはできないといってもきていたのだ。
「失礼します」
ギャルソンが飲み物を運んできた。
「じゃ、松下さんととの出会いに…」
青山一也はそんなクサイ言葉を白々しく呟き、白ワインのグラスを傾けてくる。
「うふ、ホントに青山さんて面白いわ」
と、わたしはできるだけ彼のペースに抗う言葉を返し…
「じゃぁ…」
チン…
とりあえずジンジャエールなのだが、グラスを合わせた。
「いや、そんな面白いなんて…
自分は真面目に本気で云ってるんですけどね」
と、穏やかな笑みを浮かべて言ってくる。
本当にわたしの軽い抗いの嫌味なんて全く通じない…
「アンティパストミストでごさいます」
ギャルソンが前菜を運んできた。
「あら素敵、美味しそう」
わたしはその前菜の盛り付けを見て、そんな感嘆の呟きを漏らす。
「ここのは本当に美味しいですよ」
「え、あ、ここの食べた事あるんだ?」
わたしはすかさずツッコむ。
「あ、いけね、いや……あります…」
少し照れくさそうに呟いてくる。
「でしょねぇ…
彼女さんとかしら?
それとも口説く時にはいつもかしらね?」
「あ、いや、いえ…」
「うふ、おかしい…
でも、モテる男は嫌いじゃないわ」
「え…」
「ある程度遊んでいる男の方がスムーズだし、楽しいしね」
「え、あ、そ、そうですか、そうですよね」
「うん、それに今夜も…
どちらかといえば楽しいしね」
「うわ、ど、どちらかといえばですかぁ…
こりゃ、なかなか手厳しいなぁ」
どうやらまだわたしが主導権を握っているようだ…
いや、簡単には主導権は渡せない。
だって口説かれるつもりは全くないから…
「本当に美味しいわぁ」
そしてわたしは自分のペースで言葉を紡いでいく。
「あら、ようやく日が沈んだのね」
日本海の日没は東京よりゆっくりであった…
「ええ、常務が戻るまでは酔う訳にはいかないし…
それに、万が一ほろ酔いになってしまって青山さんに口説かれないようにもしないとね」
わたしは敢えてストレートにそう答える。
「え、あ、それは複雑だなぁ」
そしてわたしの深層が…
これから先の東京本社での事を考えると、彼を無下に、粗末にはできないといってもきていたのだ。
「失礼します」
ギャルソンが飲み物を運んできた。
「じゃ、松下さんととの出会いに…」
青山一也はそんなクサイ言葉を白々しく呟き、白ワインのグラスを傾けてくる。
「うふ、ホントに青山さんて面白いわ」
と、わたしはできるだけ彼のペースに抗う言葉を返し…
「じゃぁ…」
チン…
とりあえずジンジャエールなのだが、グラスを合わせた。
「いや、そんな面白いなんて…
自分は真面目に本気で云ってるんですけどね」
と、穏やかな笑みを浮かべて言ってくる。
本当にわたしの軽い抗いの嫌味なんて全く通じない…
「アンティパストミストでごさいます」
ギャルソンが前菜を運んできた。
「あら素敵、美味しそう」
わたしはその前菜の盛り付けを見て、そんな感嘆の呟きを漏らす。
「ここのは本当に美味しいですよ」
「え、あ、ここの食べた事あるんだ?」
わたしはすかさずツッコむ。
「あ、いけね、いや……あります…」
少し照れくさそうに呟いてくる。
「でしょねぇ…
彼女さんとかしら?
それとも口説く時にはいつもかしらね?」
「あ、いや、いえ…」
「うふ、おかしい…
でも、モテる男は嫌いじゃないわ」
「え…」
「ある程度遊んでいる男の方がスムーズだし、楽しいしね」
「え、あ、そ、そうですか、そうですよね」
「うん、それに今夜も…
どちらかといえば楽しいしね」
「うわ、ど、どちらかといえばですかぁ…
こりゃ、なかなか手厳しいなぁ」
どうやらまだわたしが主導権を握っているようだ…
いや、簡単には主導権は渡せない。
だって口説かれるつもりは全くないから…
「本当に美味しいわぁ」
そしてわたしは自分のペースで言葉を紡いでいく。
「あら、ようやく日が沈んだのね」
日本海の日没は東京よりゆっくりであった…