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シャイニーストッキング

第18章 ほつれるストッキング2          蒼井美冴と松下律子

 46 蒼井美冴(23)

 松下さんは、完全に酔い潰れてしまっていた…
 元々お酒は弱いとは云っていたし、ましてやわたしとの突然の対峙、また、こうしたお酒を呑みながらの会話に、秘密の打ち明け。

 そしてなによりも、大原浩一というオトコの存在を介した、心を探り合いながらの会話…
 それにその会話に伴い明らかになってきた、お互いの共通なストッキングという性癖嗜好。

 緊張感、微かな興奮、そして宴会からの張り詰めた思い等々が、強くはないアルコールの酔いに、一気に呑まれてしまったのだろうと思われる。

「ヒロくん大丈夫?」
 わたしは、おんぶしてくれているアルバイトのヒロくんに声を掛ける。

「え、全然大丈夫っすよぉ、お姉さん軽いしぃ、それにいい匂いするしぃ」
 と、彼は、軽く話してきた。

「もぉ、バカなんだからぁ」

「いや、本当に甘くて、いい匂いっすぅ」

 いい匂い…
 それは、ゆかりさんをさんざん迷わせ、揺らがせたらしいシャネルの香り。

「あ…」
 その時であった。
 先を歩く、わたしの目の前に、大通りであり、深夜近くにも関わらずにまだまだ交通量の多い国道246号線と、その上を走る首都高速の夜に黒く浮かぶ高架…
 そして、その脇に建っているホテルのシルエットが、目に入った。

『ホテルb』
 それは、昨夜は緊急ボイラー工事の為に休業していたホテル…
 今夜は、営業している。

 そして…
 彼、大原浩一との逢瀬に、何度となく利用したホテル。

「………」

 今夜は、やってるんだ…

「あ、ヒロくん」

「はい」

「このホテルでいいわよ」

「え?」

「ほら、彼女、こんな酔い潰れてるから、タクシーにも拒否られちゃうさぁ」

「あ…」

「女二人で、泊まっちゃうわ」

「そ、そうっすかぁ」

「うん、それにここ、ラブホテルじゃないから、女二人でも泊まれるからさぁ」
 そう、このホテルはいちおうビジネスホテルである。

「うん、ちょっとチェックインしてきちゃうから」
 そう言って、小走りにフロントへと向かう。

 だけど、わたしは、ドキドキしていた…

 それはこの松下さんと、酔い潰れているとはいえ、二人でホテルに泊まるということ…

 そしてあの、ゆかりさんと過ごした、お盆休みの熱い夜が、脳裏に浮かび上がっていたからーー



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