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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 130 罪悪感

「じゃあ、また明日…
 あっ、これ、タクシーチケット…」
 わたし達はそのまま青山通りに出て、タクシーを拾った。
 そしてわたしが先に乗り、ゆかりさんからタクシーチケットを貰ったのだ。

「あ、ありがとう、また明日です…
      あ、今度、電話しますね…」
 わたしはタクシーが走り出す間際にそう云ったのだ。
 
「うん、おやすみなさい…」
 ゆかりさんは明るく手を振り、わたしを先に見送ってくれた。

 今度、電話しますね…

 これは決して社交辞令ではなく、本心からの言葉であったのだ。

 わたしの友達になってください…

 そんなゆかりさんからの突然の願いに、わたしは本当に、最初は戸惑っていた。

 今まで30年間友達がいなかったんです…

 友達なんて必要なかったんです…

 そう訊いた時、初めは驚いてしまった。
 だが、嫉妬も、今まで30年間した事がないというのだ、だから、友達がいない、という事にはなんとなく納得できてしまったのである。

 友達か…
 わたしも、ふと、思い返せば親友と呼べる存在は一人しかいない、そして、最近は、いや、『黒い女』になる前から友達という存在を意識した事がなかったのだ。

 だから、ある意味、わたしもゆかりさんと同じような、似た者同士なのである…

 そしてゆかりさんからの友達になって欲しい、という言葉を改めて噛み締めると、本当に、素直に嬉しかったのである。
 そしてわたしはその嬉しい想いのままに、さっきの自律神経の暴走の話しを打ち明けた、いや、ゆかりさんに告白したのだ。


「でも、そんな話しをしてくれて…
 嬉しいです…
 何か、何か力になれるなら…
 何でも云ってきて欲しい…
         頼って欲しい…」
 と、ゆかりさんはそう云ってくれた。

「うん、ありがとう…
 友達だもんね、これからは頼ります…」
 わたしはそう応え返したのだ。
 その彼女のの言葉に、素直に嬉しかったのである。
 そして本当に頼ろうと思ったのだ。

 しかし…

 友達だもんね…

 その言葉が、罪悪感も生んできていたのであったのだ。

 友達…
 心に響いていた。

 そして心に湧き起こる罪悪感…

 それは、大原浩一本部長の存在であった。






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