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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 131 逡巡する想い

 友達…

 心に響いていた。

 そして心に湧き起こる罪悪感…

 それは、大原浩一本部長の存在である。

 
 今夜、ゆかりさんはとうとう、自らの口により、大原本部長との関係をわたしに告白してきたのだ。

「美冴さんに、彼を、奪られちゃうと…」

 いや、もう既に、横取りしている…

 そして一昨夜も…

 ゆかりさんのそんな純粋な想いを打ち明けられた時に、恐ろしく心が痛み、罪悪感が生まれてきていたのである。

 ただ、まだ、横取りである、奪ってはいないのだ…

 ただ、一度だけ

 盗ろう、奪ってやろう…

 と、そう思った事はあった。

 だが、この可愛らしくなった、佐々木ゆかりという女性を目の前にして…

 もう二度としない…

 大原浩一本部長に抱かれる事は辞める…

 と、本気で想い、そして心に誓ったのである。
 大原浩一本部長との関係よりも、この佐々木ゆかりとの新たに築いた友達関係、友情の方が大切であり、いや、これからはもっと、遥かに、わたしにとっても重要なのである。

 それに、自律神経の暴走のストッパーなら、とりあえず武石健太という新たな存在ができたのだ…

 順序は確かに違っているけれど、これからはもう、この友達である佐々木ゆかりさんを裏切る事は出来ないし、裏切りたくはないのである。

 これからはもっとゆかりさんと仲良くなるのだ、そして仲良くなって、今、湧き起こっているこの罪悪感を早く消したい、無くしたい…
 わたしはタクシーの中でそんな事を、ぐるぐると想い巡らせ、考えていた。

「あのぉ、そろそろ駒沢大学に…」
 運転手さんがそう告げてきた。

「あっ、はい、じゃあ、ここで…」
 わたしは今、この駒沢大学近くの実家住まいなのである。
 ゆかりさんに貰ったタクシーチケットで清算をし、タクシーを降りた。
 すると懐かしい看板が目に入ってきたのである。

 あ、昔パートしたファミレスだわ…

 こんな所に出来たんだ…

 そうである、昔、結婚時代、北関東の地方都市に住んでいた時に、暇つぶしでパートしていたファミレスが新たに実家の近くに新設されていたのであったのだ。
 そして、あの和哉との禁断の関係を結ぶ要因となったファミレスでもある。

 あれから5年か…





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