テキストサイズ

シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 1 8月3日日曜日 蒼井美冴

「う…んん…」
 わたしは目覚める。
 夢も見ずに深い眠りであった。
 いくら昨夜自慰行為の絶頂感からの余韻により導いた睡眠であったとしても、こんなに熟睡できたのは約2年振りであるのだ。

 8月3日日曜日午後1時15分
 ああ約12時間も眠った、いや、眠れたのだ…
 驚いていた。

 あ、お腹が減っている…
 強烈な空腹感を感じてきていた。
 12時間も熟睡していたのだ、これも当たり前なのだがやはり約2年振りなのである。

 わたしはやはり変わったのだ、いや違う、元に戻ったのだ
 元のあの、蒼井美冴、という女に戻れたんだ…

 心が明るく、ウキウキとしてくるのを感じてきていた。

 これでいいのよね

 ゆうじ、これでいいのよね…

 わたしはどこかで見ているであろう見えないゆうじの存在を感じ、宙を見ながらそう訊いたのである。

 よし、元に戻ったのだから、新しく生まれ変わっていくんだ
 新しい蒼井美冴になって生きていくんだ…

 わたしはそう心に誓う。
 そして目覚めによる覚醒が進むにつれて、段々と心がハイテンションになってくる。
 
 昨日買った服を着て出掛けたい
 化粧をして出掛けたい
 誰かにわたしを見て欲しい…
 どんどんとテンションが上がっていく。
 そしてシャワーを浴びようと浴室に入り、鏡に映る自分を見てなぜか突然に気持ちが落ち着いたのだ。
 鏡の自分を見つめる。

 ヤバい、なんか自分が抑え切れない、完全に躁状態に近くなっている…
 昨夜の欲情の抑制が抑え切れなくなってしまうのと同じように、気持ちのテンションのコントロールが上手く出来なくなっているようなのだ。
 
 やはり今迄の反動なのだろか…
 とりあえずアタマを冷やす意味でも少しぬるめのシャワーを浴びることにしたのだ。
 ぬるめのシャワーは気持ちよかった、そして少しアタマもすっきりとした感じになり心はなんとか落ち着いたようである。

 でもこの状態に陥る度にシャワーを浴びる訳にもいかない、なんとかコントロールできる様にしなくては…
 新たな問題となってしまうのだ。

 だが、冷静になっても新しい服を着て出掛けてみたい気持ちは残っているのだ、そして誰かに新しい自分を見て欲しいという気持ちも湧いているのである。

 でもこの想いは普通よね…
 



 
 


ストーリーメニュー

TOPTOPへ