でも、猫系彼氏に振り回されたい
第1章 ツンデレじゃないもん
「湊く〜ん?朝だよ、起きて起きて」
俺は足で寝ている湊を軽く揺さぶる。
細くて小さな体でベッドにうずくまっている湊を。
「ねーえ、やだ。起きない。はっ…朝ごはん、パンケーキ?」
「せっかくのお休みだから作ってあげたんだよ。おーきーて」
湊はくしゃくしゃの真っ黒な髪の毛をかき乱しながらも、鼻をくんくんとさせて、ゆっくりベッドから起き上がる。
まだ目も開いていないのに、ふらふらとリビングに歩いていく。
「パンケーキの時だけは起きるのが早いんだから、現金な男だなあ」
俺は湊のペースにうまく合わせられる。ニコニコしながら気ままな湊に合わせるのが好きだ。尻尾を振ってパンケーキを振る舞ってしまう。
「りょーちゃんのパンケーキがこの世で1番好き」
「俺より?」
「うん。お前はパンケーキ以下です。いただきまーす」
ご機嫌にパンケーキを食べる湊。真っ白な肌と真っ黒な髪のコントラストが朝から綺麗で、俺はパンケーキも食べずに、テーブルに肘をついてうっとりと見惚れている。
「なに?見ないでよ」
ほのかに赤い唇を尖らせて、湊が頬を膨らませた。
「可愛いねえ」
「うふさい」
むしゃむしゃと頬張りながら、怒る湊の口角は少し上がっている。