でも、猫系彼氏に振り回されたい
第1章 ツンデレじゃないもん
「まんざらでもないくせに!口角あがってますけど?」
湊は眠たそうな目で俺を睨んで、フンっと顔を背ける。こんなあざといことをやってのけるこいつが、なんとも愛おしい。
「美味しいからだよ」
「俺が作ったパンケーキでニコニコしてくれるなら、俺は幸せだけどね〜」
「凌も早く食べなよ」
湊はいつも照れると話を変える。可愛い。
「あのさ、駅前に新しいアイス屋さんできたの知ってる?」
湊は大の甘党で、たぶん俺のことよりスイーツが好き。でも、本当は俺のことが大好きなツンデレくん。
「なんかチラッと聞いたけどね、知らない」
「昨日通ってみたら、たくさん人が並んでて、みんないろんな色のアイス食べてた。最近流行りのフォトジェニックってやつ?でもね、店員さんの服はダサかったんだ」
ニマっと笑う湊の意地悪顔も俺は大好きだ。
「そんなに?」
「ガラにガラだった、ありえない。でも、帽子はかわいかった」
「それで、食べたの?アイス」
「食べてないよ」
「並んでたから?」
「別に、なんとなく」
湊は並んででも食べたいものは食べるのに、わざわざ帰ってきたなんて、想像するだけで可愛すぎて悶えてしまう。
「てか、フォトジェニックって、多分古いよ。年下の俺が映えってヤツ教えてあげようか?」
「大丈夫デス」