でも、猫系彼氏に振り回されたい
第2章 写真には残さない
アイスクリームが溶けて、俺の手にベタベタとまとわりついてくる。どうしようもできなくて、泣きたいような気持ちになりながら、俺は湊の顔を見る。
溶けていくアイスクリームが突然バランスを崩して、地面に落ちていく。顔を上げた時には、湊の姿が無かった。
「湊!」
と叫んだところで目が覚める。
「なんだ、夢オチかよ…」
「うるさい。ずっとここにいるんだけど」
携帯を片手に、隣で湊が座っていた。
「ごめん、寝てた…何時…?」
「もう四時だね」
「変な夢、見た…」
なにも言わず、湊がすこし近くに座り直した。
「アイスさ、食べに行ったんだよ。でも、ドロドロに溶けてて、すごく気持ち悪くて、怖いくらい早く溶けていって、床に落とすんだ。俺悲しくて、顔あげたんだけど、湊がいなくなってて、びっくりして」
「凌はクールな顔して、そういうの暗示的な夢だとか、信じちゃうタイプ?なんか、可愛いね」
他人事みたいにふふっと笑って、湊はなにを考えているのかよくわからない。
「別に、そういうわけじゃないけど。なんか嫌だったなって」