でも、猫系彼氏に振り回されたい
第2章 写真には残さない
「あ、帰りにスーパー寄りたいかも。卵買い忘れちゃってさ」
「りょーちゃんが得意な卵料理が食べれるってこと!俺は幸せ者かもしれないな」
長い腕を嬉しそうにブンブン振りながら歩く姿が可愛くて、自然と笑顔になってしまう。
意外とカバンに一緒に買ったキーホルダーをぶら下げてるところとか、ひとつひとつが愛おしくて、気を抜いたら抱きしめそうになる。
「あ!あの店!…並んでないね」
近づいてみると、オシャレな雰囲気の店で、ドライフラワーが飾ってあったり、俺にはよくわからない写真がいくつか白い壁にかけられている。
「ね、ほら。店員さんダサいよね」
湊が意地悪な表情でニヤニヤしている。
「やめな…って言いたいところだけど、あれは確かにちょっと変かも」
店内を覗いてみると、数組は中で食べるスペースが用意されているが、すでに若い女性たちで埋まっていた。
「歩きながら食べようか」
声を出さずに「うん」と湊が頷いた。