でも、猫系彼氏に振り回されたい
第3章 かわいい子には旅をさせろ
「マジで、気付きませんでした…。え、恥ずかしい…」
「あ〜んしたり、普通ににいちゃいちゃするから、隠してないのかと思った」
隠してるつもりはなかったけど、こうして「あ〜ん」とか言われると、なかなか恥ずかしい。
「でさあ、あの子、お客さんじゃない?店で見たことある気がするんだけど」
「はい、まあ、一時期は来てくれてましたけど…」
「客に手出したの?うちの店、恋愛禁止なんだけどなぁ〜」
からかうようにミキさんはケラケラ笑っている。
「違いますよ!だって、あっちが!」
「うそうそ。…ねえ、顔赤いよ。この店で出会ったの?あっちから狙われた、とか?」
ミキさんはもう、話を聞こうと席に座ってしまっている。肘をついて「さあ、どうぞ」と言わんばかりに。
「僕の、惚気話ききます?そこそこ長いし、めんどくさいですよ〜?」
「暇だし、教えてよ」
ニカっと明るい笑顔で言われると、全部話しなくなってしまう。
大好きな湊の話を人にするのは初めてだから、少し舞い上がっている。