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短編集 一区間のラブストーリー

第16章 短編その十六


ついていない…
まったくもってついていない…

昨夜は美人CAたちとの
合コンの予定だったのに

ウキウキとしてマンションをでたところで
僕は派手に転んでしまい
右足をおもいっきり捻挫してしまった。

けっこう激しく挫いてしまい
歩くに歩けない。

捻挫ごときでは入院もさせてもくれず

「しばらくは安静にしてくださいね」と
冷たい言葉をかけられて家に帰された。


俺はKO大学の2回生

KO大学というのは、
いわゆるおぼっちゃま大学だ。

自宅から通学するには少し遠いという理由で
俺は親のスネをかじって
学校の近くのマンションを借りて
一人暮らしだ。

一人暮らしは気楽だが
こんなときは
身の回りの世話をしてくれる人がいないので
とても困る 。

KO大学の学生といえども
全員がモテる男とは限らない

かくいう俺も
彼女と呼べる親しいGFとは無縁だった。

こうなりゃ口うるさい母親にでも頼むかと
連絡したところ

『お母さんだっていろいろ忙しいのよ
あ、そうだ!家政婦さんを頼んであげるから。
ね、それでいいでしょ』と
冷たくあしらわれた。

俺は「市原悦子」みたいな
おばさんを想像した。

まあ、いいか。
母親に来てもらっても似たようなものだ。


とにかく来てくれたら
何か食い物を用意してもらおう
昨夜から何も口にしていなので腹ペコだ。
その家政婦は夕方にやってきた
朝早くに母親にSOSを発信したのに
まったく遅いじゃないか!

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