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短編集 一区間のラブストーリー

第17章 短編その十七

今宵は皆既月食…

麻里子は彼氏の康夫と、
その友人である明の三人で
近くの山頂に天体ショーを眺めに来ていた。

ほんとは、親友の茜も来るはずだったのだが
生理痛がひどくてパスしたのだった。

それならば康夫と
二人っきりで来たかったのだが
一人でも多い方が賑やかで楽しいと
康夫が明を連れてきた

三人は空き地にブルーシートを広げて
その上にゴロリと横になった。

もう間もなく月が
欠けようかという時間になって

「俺、小便に行ってくるわ」と
康夫が言い出した

「ええ?早くしておいでよ~」

ああ、すぐに戻ってくるから。

そう言って康夫は茂みの中に消えた。

「悪いな、俺みたいなやつがお邪魔虫で…」

康夫がいなくなると
明がなれなれしく体をずらして密着してきた。


「いえ…別に…」

明との距離を空けようと
麻里子が体をずらしかけた途端

な、いいだろ…

そう言ったかと思うと
不意に明が麻里子の体に覆いかぶさってきた

え?なに?…ちょ、ちょっと
冗談はよしてください!!

明の体を押しのけようとしたが
男の体はびくともしなかった。

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