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短編集 一区間のラブストーリー

第4章 短編その四


ここはどこだろう?

目覚めると、
まわりはゴツゴツした岩肌の壁が
三方にそびえ立っていた。

一方だけが外に出れるように
パカッと口を開いていて
前方には川が流れていた。

例えるなら、アメリカの
グランドキャニオンの渓谷の
片隅のようなところだ。
その一角の砂場で私は横たわっていた。

フラフラと起き出し、
のどの渇きを止めようと水を求め、
川に近づこうとした。

「ダメだよ」

囲みの奥から声がした。

振り向くと、年の頃は中学生ぐらいの
青い目をした男の子が
膝を抱えて埋くまっていた。

「まだ、明るいから外にでちゃダメ。
あいつらがいるから」

あいつら?

それは誰?
ううん、そんなことよりここはどこ?
疑問を少年に問いかけた。

「どこって、ココはココだよ。
あいつらは、あいつらだよ」

まったく訳がわからなかった。


「とにかく、私はのどが渇いたのよ」
そう言うと、仕方ないなあと立ち上がり
岩の陰からバケツを取り出した。

「大事に飲んで。
暗くなったら川に汲みにいくけど、
それまではこれだけしかないんだから」

そう言われるとゴクゴクと飲めやしない。

私は一口だけ、のどに流し込み我慢した。


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