短編集 一区間のラブストーリー
第15章 短編その十五
とはいえ、
彼女の家まで山を登り20分は歩かされた。
たどり着いたのはかなり広い古民家だった。
「あの…ご家族様に挨拶を…」
急にこんな若造が来たんだから
驚くに違いない。
ちゃんと理由を説明しないと…
「うふふ…大丈夫ですよ。
この家には私一人だから」
こんな大きな家に独り暮らしだなんて、
きっと訳ありなのだろうが
あえて僕はその理由を聞かないことにした。
夕食をご馳走になり、
ちゃっかりとお風呂までいただいてしまいました。
「ここでお休みになってください。
今夜は冷えるので
寒かったら遠慮なく申し出て下さいね」
確かに彼女の言う通り
深夜になって底冷えしてきた。
こりゃ寒くて眠れそうもないなと思っていたら
襖が開いて彼女が部屋へ入ってきた。
「やっぱり今夜はすごく冷えますね」
そう言うと静かに僕の布団に潜り込んできた。
「えっ?」
驚く僕に
「知ってます?
こうやって添い寝すると温かいんですよ」
布団に潜り込んだだけじゃなく
僕の体にピッタリとくっついてきた。
「いや、あの、ちょっと」
何がなんだかわからずに
僕は彼女の体から離れようとした。
だが、しっかりと
僕に抱きついた彼女は離れない。
おまけにパジャマを着ているものの
当然のことながらノーブラなので
彼女の柔らかい胸の膨らみが僕の肘に…
男の生理現象で
あっという間に僕は勃起していた。