カクテル好きの女たち
第5章 三十路の女性警察官
隣のデスクで酔っ払ったホステスが
上司に絡んでいた。
「はいはい。お嬢さん、
ちょっと飲みすぎじゃないかな」
酔っぱらいのホステスを刺激しないように
上司の巡査長は柔らかい口調で宥めている。
ここは繁華街の派出所…
深夜ともなれば酔っぱらいの揉め事で
ひっきりなしに出動がかかる。
私は相川良美。
交番勤務の三十路の女性警察官。
彼氏は…残念ながらいません。
かといって男を知らぬ女ではありません。
警察学校の教官に一度だけ
抱かれた事があります。
でも、その事が何故だかバレてしまって
交通課に配属される予定だったのが
減給処分と同時に
派出所任務を命じられました。
私を抱いた教官ですか?
処分を受けずに
今ものうのうと教官を務めています。
理不尽だと思いながらも
小さい頃からの夢だった警察官を
辞めるつもりはありませんでした。