カクテル好きの女たち
第5章 三十路の女性警察官
ぼんやりと
上司の巡査長と
ホステスのやり取りを見ていると
机上の電話がけたたましく鳴り響きました。
110番通報です。
電話を受けると、
店の前で酔っ払いが騒いでいるので
すぐ来てくれということでした。
上司は
「ご覧の通り、
俺はこのホステスの姉ちゃんで
手一杯なんだ。
相川巡査、悪いが行ってくれるか」
やれやれ…
私は交番に置いてある自転車に飛び乗り
夜の街へ漕ぎ出しました。
こんなところにお店があるの?というような
路地に入っていくと
店の主人らしき男が
酔っ払いを宥めていました。
酔っ払いも少しずつ酔いが覚めてきたようで
おとなしく店の主人の説得に
ウンウンと頷いてます。
「どうやら警察の出る幕はなさそうですね」
自転車を降りて二人に近づいて
私は声をかけました。
「お騒がせしてすいませんでした
聞き分けのいい酔っ払いさんで助かりましたよ
お呼び立てしたお詫びに
一杯呑んで行かれますか?」
アルコールが大好きな私ですが、
勤務中なのでとお断りさていただきました。
「じゃあ、非番の日に来てくださいよ
サービスさせてもらいます」
ちょうど夜勤明けで明日は非番だったので
必ず来ますと約束しました。