テキストサイズ

カクテル好きの女たち

第9章 売れ残りのOL


「気に入った!お前の店に行ってやる!」

部長は機嫌を直して
「おーい、みんな、
この女の店に行くぞ」と号令をかけました。

和服美人さんは私の方を見て
『いいからお帰りなさい』と
小声で助けてくれました。

私はその方にペコリとお辞儀をして
彼女が出てきた路地に逃げ込みました。

その路地の奥には
バーと書かれたネオンが
ひっそりと光ってました。

『一人で飲み直そうっと』

私の足はひとりでに
そのお店に向かっていったのです。



そのお店は、よく言えば昭和レトロで
悪く言えば寂れていて
今にも潰れそうな店でした。

「いらっしゃいませ」

殺風景な店内を見て
引き返そうと思いましたが
マスターに声をかけられて
渋々カウンター席に座りました。


「何をお作りしましょうか」

そう聞かれたので
「お任せします」と答えました。

しばらくして差し出されたのが…

「スコーピオンです
カクテル言葉は『瞳の誘惑』です」

マスターが、
「あなたの目が澄んでいて
とても綺麗でしたので…」と
歯が浮くような
甘ったるい言葉をかけてきました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ