🕯️🕯️悪夢の神様2🕯️🕯️
第9章 本気の偽物
「大門 底二郎は…お前が――――愛人の息子だから…支援したんだろうなぁ…。
基樹さんは――――本当に頭のいい人だったから…」
私は、目の前でにらみ続ける士郎に語り出す。
「――――支援?あれが支援だったと?お前は…本当に何も見えていないんだな!
あんなの…ただの奴隷だ!精神的にも肉体的にも……俺はアイツに支配され続けてきた!」
私を睨み――――恨みをぶつける士郎に俺は哀れな気持ちになる。
だって――――…お前がそれを選んだんだろ?
基樹さんと同じ絵画の道なんか進まなければ…底二郎の奴隷になんて落ちなくてすんだんだ。
――――まぁ…
無理だろうけど…。
「基樹さんが――――その奴隷になって…何年だと思う?
大学生の時に底二郎に目をつけられ…無理やり犯され…それを理由に脅迫され……奴隷に落ちた日から――――何年だと思う?」
俺が、基樹さんの事を語ると…睨んでいた目元が少し緩み――――警戒した視線へと変わる。
「意味が――――分からない…父さんが…」
「25年――――…25年だよ?俺たちが生まれて…すぐだ…。
基樹さんは学生結婚で…すでに奥さんと子供がいた…当時は子供が産まれたばかりで…お金がなかった…って言っていたなぁ……」
私は冷静に――――少しでも落ち着いたように話を続ける。