🕯️🕯️悪夢の神様2🕯️🕯️
第27章 暗示と希望――――…
逮捕され――――起訴が決まった。
私は犯罪者として、法の道なりを順調に進んでいた。
検察の取り調べで「なぜ、このような会社を立ち上げたのか」「なぜ、復讐なのか?」と、言う質問があった。
――――なぜ?
この世は――――平等じゃないから…
私の言葉で救える心があるなら…救いたい。
そんな、安易な気持ちから始まった「復讐コンサルタント」だった。
思えば――――いつからだったかな?
もう、昔の事過ぎて分からない。
思い出せない。
そんな、取り調べ中――――…
私を訪ねてきた男性がいた。
その男の名は、※酒井(さかい)といった。
酒井は私よりだいぶ年をとった、老人だった。
しかし、意識はハッキリとしていて――――…背筋も伸び綺麗な立ち姿は、見るからに“執事”と、言っていいほどだった。
――――この日本でちゃんとした執事を見たのは初めてかもしれない。
この歳で…初めてに出会えた事に少し感謝したくなった。
「はじめまして――――わたくし、時田家に使える酒井と申します」
スーツ姿の老人は、綺麗なお辞儀を私にすると自分の名刺を面会室の間に設置されている厚い防弾ガラスの前に見えるように立て掛けた。
私は、口を塞がれ――――…しゃべられないが…老人は気にすることなく接する。
※【神様の独り言】の登場する、道子の執事。ご老体のため耳が遠く、道子とはほぼ手話で会話をしていた。