
短編 姉と弟 世界で一番身近な女
第1章 姉と弟
「まったく進歩なしじゃ
こっちだってやってられないわよ。
おまけに姉弟だからって
タダで家庭教師をやらされて、
こちらもたまったものじゃないわ」
それに、あんたの部屋って臭いんだもんと
紗希はゴミ箱に顔を近づけて
クンクンと匂いを嗅いだ。
「あんたさあ、
オナニーばっかしてるんでしょ?」
図星だった。
だが大介は平静を装いながら
「そんなことしてる訳ないじゃん」
と言った。
「まあ、年頃の男で
おまけに彼女もいないんじゃ
自分で慰めるしか
性欲処理できないんでしょうけど」
年がら年中、
男をとっかえひっかえして
繁殖期の猫のような姉貴に言われると
なんだか無性に腹が立った。
