もう推しとは言えない *番外編更新中
第21章 番外編 最後の○○
ふっと小さく微笑んだ澤畠先生。
澤畠先生は迷ったように…少し時間が空いてから、私の頭をポンポン、と撫でた。
「そんなあなただから…私は、ついつい気にかけてしまったんですかね。
…プリザーブドフラワーも、椎名さんじゃなかったら多分作らなかったでしょうし。」
「え…」
「椎名さん。」
さっきから…また、澤畠先生は私を期待させるようなことばかり…。
違うと分かってはいても、人間っていうのは欲深い…。
「目、閉じてくれませんか?」
「えっ…?どうして…」
「…何でだと思います?」
…そんな風に見つめられたら、もう…。
キス、してくれるのかなって…そういう期待しか抱けない。
私は…とりあえず、そっと目を閉じる。
何も見えない…けど、そっと頬の辺りに澤畠先生の手の温もりがきて…胸が、ドキドキして…心臓が一個じゃ足りないくらい…バクバクしてる。
キス、されるのか、違うのか…期待と不安を交互に抱き続けて…。
ゆっくりと、澤畠先生の顔が近付いてくる気配がした。
ギュッと目を瞑ると…優しく、私の唇に温かいものが重なる…。
それが、澤畠先生の唇だと気付くのに…キス、されたと気付くのにそんなに時間はいらなかった。