もう推しとは言えない *番外編更新中
第21章 番外編 最後の○○
見つめ返すことしか出来ない…。
私に聞かれたって…分からない。
私のことが好きなんですよ、きっと…なんて冗談でも言えない…。
「…あ、信号青になりましたね…とりあえず渡りましょうか。」
「はい。」
片方の手は繋いだまま…、少し急いで横断歩道を渡る。
車が渡りたそうだったから、歩行者は先に渡らないと…と澤畠先生は言っていた。
そういうルールがあるらしい。
そのまま、言葉はなくても…手を繋いだまま、先生とゆっくり歩く…。
ここら辺を、先生と歩くなんて、変な感じしかしないなぁ…。
「あ…澤畠先生、ここ、前行ったんですけど…私にはよく分からなかったですけど、数学の本がたくさん置いてありましたよ。」
「ふっ…そうなんですか?じゃあ、あとで見に来ても良いかもしれませんね。」
「はい。そしたら私…ここでバイトして、先生が来てくれるの待とうかなぁ…」
そんなことも、出来そう…。
どうせ、私が春から進学する専門学校は家から近いし。
引っ越しとか必要ないから、バイトもここら辺でやろうと思ってた。
「そういえば…椎名さんは、どこの専門学校に行くんですか?」
「私は…県庁の近くの方にある専門学校です。」