白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第12章 令嬢 緑川志保
『そうか。来るか。
よしよし、いいぞ。
実は女性陣の参加メンバーが
急遽1名増えたんだよ。
これで5対5の釣り合いがとれるよ』
なんだい、単なる頭数あわせのために
僕を誘ったのか。
当日、待ち合わせ場所に少し早めに行って、
直樹を待つことにした。
文庫本を読みながら、
JRに揺られている時のこと、
ふと、顔を上げると、
向かいの座席の女性と目が合った。
『うわぁ~、きれいな女(ひと)・・・』
サラサラしたロングの髪が
小顔によく似合っていた。
大きくはないが
きれいなラインの胸の膨らみ。
ミニスカートからのぞく
すらっとした長い足。
彼女の魅力にしばらく見とれてしまった。
彼女は僕と同じ駅で下車し、
雑踏の中へ消えていった。
待ち合わせ場所には、
まだ直樹の姿は見えなかった。
『それにしても、さっきの娘(こ)、
可愛かったなあ。
あんなかわいい子が
今日のコンパに参加してくれたらいいのに』
これって・・・
俗に言う一目ぼれってやつかな?
しばらくボーッと待っていると、
「よっ!お待たせ」
ふいに後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、大人びた直樹の顔があった。
すこし大人びたが、
やはりどこかお互いにヤンチャしてた頃の
懐かしい面影も残っていた。