白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第12章 令嬢 緑川志保
ホテルの1室に入るなり、
志保はトイレに直行した。
かなり辛かったんだろう。
しばらくして志保はトイレから戻ってきた。
「大丈夫?」
「うん。だいじょうブイ」
そう言って志保は指でVサインをした。
少しアルコールが残っているせいか?
清楚な志保のユーモアに
口をあんぐり開けて驚いてしまった。
「びっくりしたあ~。
緑川さんの口から
そんなジョークが飛び出すなんて」
「まあ、失礼ね。
こうみえてもヤングレディなのよ」
ヤングレディって…
その古めかしい言い方に耐えられず
大笑いしてしまった。
えっ?そんなに可笑しいことを言いました?
そう言って志保はキョトンとした。
「そんなことより、
こういったホテルは初めてですか?」
「ええ、初体験は
当時お付き合いしていた彼の部屋でしたので…
思っていたよりきれいなんですね」
志保はバージンではなかったのか…
そりゃそうだよね、
こんなきれいな子を放っておく訳ないか。