白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第3章 里中先輩
夏がきた。
僕は、理恵ちゃんを追いかけて、
テニス部に入部していた。
テニスになんかまったく興味はないが、
理恵ちゃんと少しでも一緒にいたいという
不純な動機だけど、
とにかくクラブ活動に精をだした。
夏休みに入ったとたん、
夏合宿とかで、
僕たちは長野県の高原へ来ていた。
合宿の練習はきつかったけど、
理恵ちゃんの傍にいられるだけで
とにかく幸せだった。
合宿最終日の前夜、
部員みんなで思い出を作ろうと、
肝試しをすることになった。
小高い丘の上に祠があって、
そこに用意してあるテニスボールを
取ってくるという単純な肝試しだ。
どうせやるなら、
男女ペアが面白いということで、
くじ引きでペアを決めることとなった。