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白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~

第16章 帰国


理恵はジェフと離婚し、
一人で日本に帰国した。


離婚調停は案ずるよりも
すんなりと事が進んだ。

医師の診断書が、
なによりも効果的だったのだ。

いくら夫婦生活とはいえ、
パートナーの体を傷つかせることは
DVに相当すると判事が判断してくれたのだ。

ジェフは諦めがつかぬといった顔だったが
司法のお達しとあれば仕方がないと
離縁してくれた。


たった一人、
何年ぶりかで日本の地へ降り立った理恵は
公衆電話を見つけ、
メモに書かれた番号をダイヤルした。


離婚して日本へ帰国すると
両親に報告した際に、
母親から帰国したら祖母を訪ねるようにと
アドバイスしてもらったからだ。


何度目かの呼び出し音の後、
「はい、もしもし」と
なつかしい声が聞こえてきた。

「おばあちゃん…理恵です…」
そう言うのがやっとだった。

理恵は受話器を握りしめ泣きじゃくった。

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