白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第16章 帰国
『理恵ちゃん、よく連絡してくれたね。
うん、うん。お母さんから聞いているよ。
何も言わなくてもいいんだよ…』
受話器の向こうの祖母も泣いてくれていた。
『おばあちゃんのお家、覚えているかい?
覚えていないかもしれないよね。
うん、そうだ。おばあちゃんが
迎えに行ってあげるよ。
今、どこ?まだ成田?』
「うん、成田」
『東京駅まで来れる?』
「たぶん、大丈夫」
『じゃあ、とにかく東京駅まで
がんばっておいで。
そこで落ち合いましょう』
祖母と、ちゃんと落ち合えるか不安だった。
なにせ、7年ぶりの再開。
しかも理恵は少女から大人の女へと
成長しているのだ。