白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第16章 帰国
だが意外にも祖母は雑踏の中から、
すんなりと理恵を探し出した。
「理恵ちゃん、すっかり女らしくなって…」
祖母は理恵をやさしく抱きしめてくれた。
「おばあちゃん、よく私がわかったね」
そう問うと
「かわいい孫だもの、成長してもわかるわよ」と言った。
そういうものだろうか。
「なあ~んてね。
お母さんが毎年、理恵ちゃんの写真を
送ってくれてたんだよ。
でないと、やっぱりかわいい孫でも、
こんなにきれいな女が理恵ちゃんだとは
気付かなかったかもしれないわ」
人々が行き交う雑踏の中、
2人は声を出して笑い転げた。
理恵にとっては久しぶりの笑いだった。
そして、祖母と利恵の
共同生活がスタートした。
いつまでも遊んでいるわけにもいかず、
理恵は堪能な英会話を活かし、
おばあちゃんの家の近所に
英会話教室を開設した。