白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第18章 最終章
僕は、密かに「白い雫(しずく)」の構想を
考えていた。
担当の吉岡は、しきりに
「先生、今度の新作、
学園ものにしましょうよ。
中年の粘つくようなSEXでなく、
若い性を書きましょう。
うーん、そうだなあ、
処女を喪失した女学生が性に目覚めて
誰ともやっちゃう。って、
こんなのどうですか?
いいですよ~女子高生は。
胸もお尻もプリプリで…」
目を閉じ、むふふと
スケベ笑いをする吉岡を見て
『おいおい、妄想だけにしておいてくれよ。
まさか、どこかで
援助交際なんてしてないだろうな』と
我が担当者ながら、
そのスケベ度には脱帽だ。
「白い雫(しずく)」は僕自身を主人公にした。
ヒロインは、もちろん理恵。
書き始めて、
5ページもしないうちにペンが止まった。
理恵との付き合いは中学へ入学したときから、
わずか5ヶ月で終わってしまっていたからだ。
あまりにもエピソードが無さ過ぎる。
迷ったあげく、
直樹や里中さんを登場させることにした。