白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第18章 最終章
公園のベンチに腰掛け、
今までの空白を埋めるように
二人はしゃべり続けた。
僕が官能小説作家を生業としていること。
何人かの女性とお付き合いをしたが縁がなく、
いまだに独身だということ。
理恵ちゃんは、アメリカに住んでいた時に
オーストラリア人と恋に落ち、
結婚はしたものの子宝に恵まれず
その後離婚し、
今は誰ともお付き合いを
していないということ。
「ねえ、あの小説、どこまで実話なの?」
「あれかい?僕と幼馴染の直樹の会話や、
理恵ちゃんを慕う僕の気持ち以外は創作だよ」
「そうよね。
わたし、あんなにグラマーじゃないし、
オナニーもしないわよ」
そう言って二人で爆笑した。
「ねえ、じゃあ、
公園で手をつないで
デートをしたいってのも本音?」
「もちろんさ」
「じゃあ、ご希望に応えて・・・」
理恵ちゃんは笑顔でそう言うと
手を差し出した。
僕は理恵ちゃんの手をやさしく繋ぎ、
夕闇の中、僕たちはキスをした。