白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第18章 最終章
翌日、僕は精一杯のおしゃれをして
待ち合わせ場所でそわそわしていた。
頭髪は若干薄くなり、
体型も見事におじさんとなった僕を
理恵ちゃんは見つけられるだろうか?
理恵ちゃんはどうだろう?
やはり変わってしまっているだろうか?
お互いに会った時の楽しみということで
写メの交換はしないことにしていた。
そんな期待と不安を胸にドキドキしていると、
手にしていたスマホに着信があった。
「すいません…あの~ベンチで座っていて
緑のカーディガンを羽織っている
素敵なおじさまがもしかして順也くん?
理恵です。あなたから10mほど後ろに
立っています」
あわてて振り向いた僕は驚いた。
あの頃の可愛い理恵ちゃんが、
いや、あの頃よりも成熟し、
色香の匂い立つ綺麗な理恵ちゃんが
そこにいた。
「そうです。順也です。
よくわかりましたね。
あの頃とすっかり変わってしまって
驚いたでしょ?」
「ううん。後ろ姿をひと目見て、
あっ順也くんだ!ってわかりました」
すいません。
逢いたいだなんて無理を言ってしまってと
恐縮する僕に
「いいえ、ほんとうに私も
すごく逢いたかったんですもの」と
笑ってくれた。