白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第9章 理恵との別れ
「どうぞ、入って・・・」
「お邪魔しま~す」
順也を部屋に招きいれた。
ほんとはもっと別な形で
順也を迎え入れたかった。
キョロキョロと部屋を眺める順也。
「へえ~、案外さっぱりしてるんだね」
そりゃそうだ。
日本を離れる準備は着々と進んでいる。
本来なら、机の上にもベッドの脇にも
かわいい小物たちで溢れかえっている。
しかし、今はもうその愛くるしい小物たちは
引き出しの中へ収められている。
「とりあえず適当に座って」
「うん。それじゃあ」
そう言って順也はベッドに腰掛けた。
私もさりげなく順也の隣に腰を下ろす。
「で、今日は、なにか話しでもあんの?」
唐突に順也が聞いてきた。
「う、うん・・・あのね・・・」
順也が私を見てる。
久しぶりだなあ、こうして見つめられるの。
胸がキュンとなっちゃう。
告白しなきゃ・・・
そしてお別れしなきゃ・・・