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白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~

第9章 理恵との別れ



土曜日、部活が終了後、
部室から着替えを終えた順也をつかまえ、
声をかけた。

「順也くん。
これからよければ、家に来てもらえる?」

「これから?・・・別にいいけど」

「ありがとう。よかった・・・」

来てくれることに期待はしてなかったが
予想に反して良い返事をもらえた。

もしも、都合が悪いと断られたら、
誰に聞かれてもいいから
今この場で告白するつもりだった。

帰宅中も順也との会話は弾まなかった。

問いかけに「ああ」とか
「うん、そう。」とかのつれない返事・・

涙が出そうになった。

こんなにも順也が好きなのに、
こんなにも順也のそばにいるのに・・・

順也の心の中に私はいない・・・

告白して
『ごめん、他に好きな子がいるんだ』と
言われてもいい。
日本を離れる前に
思いだけはきっちりと告げておきたい。

でないと私は前に進めない。
ずっと中1のまま
虚しい人生を送ってしまいそうだもの。


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