神の口笛
第12章 最終章
エマの細い指に、金色の指輪がはめられた。
広大な大地を見渡す丘で、ひっそりとたたずむ2人。
そばにはステラとベンもおり、彼らの手元にはルイの遺影が微笑む。
「いつか、お前は聞いたな。誰かを愛したことがあるか…と。」
グレイの言葉を聞き、エマはゆっくりと頷く。
「幼い頃から、ずっとお前だけを愛している。これからも、死んでもだ。願わくば、来世でもその次も、何度でもお前と生きたい。」
頬を流れる涙はあたたかく、とめどない。
丘を駆け上がってくる風の音が、ぴゅうぴゅうと何度も聞こえる…―――
それはまるで神々の、祝福の口笛のようであった。
END