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　9　彩ちゃん劇場　⑧

「専務ぅ、いいわよぉ、中でぇ…」
　このわたしの言葉が呼び水となった。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああっ、イクっ、っくうっ…」
　専務はラストスパートを掛けてくる。

「あん、ん、ん、んんっ、っくうぅぅ……」

　専務は少し速かったのだ…

「ああっ、うぅ……」

　彼はわたしの中で
　ドクッ、ドクッ…
　と、二度ドクッと震えたのであった。

「あん、んっ、あぁぁぁぁ…」
　そしてわたしは演技をする。
　それも主演女優賞並みの演技であった。

「ふうぅぅぅ……」
　わたしはそのままに専務に抱きついていく。

「はぁぁ、専務ぅ、すっごくぅ気持ちよかったわぁ…」
　そしてそう囁いたのだ。

「あ、う、うん…」
　専務はわたしを腕の中に抱き寄せ、そう頷いた。

「はぁぁ…」
　そしてわたしは専務の目を見つめる。

　キスして…と。

　すると通じたのか、わたしの顔を優しく引き寄せ、キスをしてきたのだ。

「あ…」

「う、うぅ」
　そのキスは、情熱のキスであった。
　熱い専務の想いが流れ込んできたのだ。

　ああ、専務、これでもう完オチね…

　専務は完全にわたしに落ちたのだ。

　トントン拍子にわたしを口説き落とせた…

　そして情熱のキスと、情熱のセックス…

　そしてわたしを絶頂感の快感に導けた…

　男の本懐である。

　……と、専務は満足している筈なのだ。

　だが、しかし…

　全てはわたしの導き、誘導、そして演技なのである。

　カラオケの時点で完全に専務は、わたしの手の平の上で躍らされていたのだ…

　そう、専務はわたしという沼に完全にハマったのである。

　よし、これから暫くは、愉しませてもらおうか…

「ねぇ、専務ぅ…」

「うん、なんだい彩ちゃん…」

　専務の男としてのわたしに対する自信が確立したのであろう、彩さんから彩ちゃんになっていた。

　完全にオチたわ…

「わたしぃ、専務がぁ、好きになっちゃったみたい…」
　
　これが完全なダメ押しである…

「うん、俺もだよ…」

　黒田正明専務は、完全にわたしの沼にハマって、落ちたのだ…