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雨の降る夜は傍にいて…

第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)

 16 彩ちゃん劇場 ⑮

「そしてディナーを食べてぇ、その後にぃ最上階のバーで軽く酔い…
 部屋に戻ってぇ、まずはジャグジーで夜景を見ながらぁ愛し合い…
 その後ベッドでたっぷりと…
 まるでフランス映画のラブシーンのようにぃ、夢中になってぇ愛し合ったんですぅ…
 もお、夢のような夜でしたぁ…」



「………へぇ、ふうぅ…」
 わたしは彩ちゃんのあまりにも饒舌で、リアリティに溢れる語りに、すっかり夢中になり、そして彩ちゃん劇場に吸い込まれてしまっていたのだ。

 そして、想像してしまい、少し、いや、かなりウズウズと疼かせてしまっていたのである。
 それに、遥か南の海上で発生し、発達している超大型台風のせいの疼きの昂ぶりのせいもあったのだと思われた。

「なんか…
 すごい…ね…」

 ドキドキ、ウズウズ、ザワザワ…

 胸の昂ぶりが収まる気配がない、いや、むしろますます昂ぶる感じであったのだ。

「…で、『夢の国』は…」

「……あ、はい…」

 …そんなんだからぁ、すっかりぃ、深夜遅くまでヤリまくっちゃってぇ…
 すっかり朝寝坊してしまい、ブランチを食べたらぁ、すっかりヤリ疲れしちゃったんですよぉ…

 …でぇ、もお『夢の国』なんてどうでもよくなっちゃったんですがぁ、やっぱり、わたしも、まあくんもぉ、みっき社長にお土産買わないと…      
 っていう事になってぇ、『夢の国』には入らずに、入り口前にある
『イクスピアリショッピングモール』
 でぇ、社長のと、そしてわたしのもぉ一番大きな黄色いクマのキャラクターのぬいぐるみを買って、帰ってきたんですぅ…

「ふううん、そ、そうなんだぁ…
 で、こっち帰ってきても、昨夜はまたヤッちゃったんでしょう…」

「あっ、はぁい、もちろんですよぉ…
 だってぇ、まあくんがぁ、帰したくないってぇ…」
 と、すっかりお惚気のオマケまで付いてきたのだ。
 すると彩ちゃんがフッとマジメな顔をしてきた。

「みっき社長ぉ、本当にまあくん貰っちゃってぇいいんですかぁ…」

「えっ、貰うも何も、もうすっかり彩ちゃんにオチてるじゃないのぉ…」
 本当にそれに関してはどうでもよい事であるのだ。
 決して、まあくん、黒田専務は男としての魅力には問題はないのだが、わたしのタイプ、つまりは、男としての嗜好の対象ではないのである。




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