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雨の降る夜は傍にいて…

第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)

 17 素敵な話し

 決して、まあくん、黒田専務は男としての魅力には問題はない。
 だが、わたしのタイプ、つまりは、男としての嗜好の対象ではないのである。
 
「もしもぉ、またぁ、飽きちゃったらぁ、別れちゃってもぉいいんですかぁ…」

「うん大丈夫よ、彩ちゃんは気にしなくて…
 彩ちゃんの好きなようにして構わないからさぁ…」

「あ、はい、でも、仕事に影響はぁ…」

「ああ、全然平気よぉ、業者的には沢山いるし、それに、ウチが仕事振って上げている方だから、全く問題ないわよ…
 そんな事は彩ちゃんは気にしなくて平気だからさぁ…」
 と、わたしは言った。

「ああ、そういえばそうですよねぇ」
 そうなのだ、その辺は彩ちゃんは事務員なのであるから、よくわかる筈なのである。

「でも、今のところはまだ別れる気なんて、サラサラないんでしょう…」
 わたしが微笑みながら、いや、ニヤけながらそう言うと…

「もちろん今のところはぁ、全然ないです、まだまだ色々とぉ貢いでぇもらいますよぉ…」
 と、彩ちゃんはVサインをしながらそう言ってきたのである。

 さすがは彩ちゃんだ…

 今度の給料日には臨時ボーナス付けなくては…

「それよりぃ、社長の方はどうしてたんですかぁ…」

「えっ、わたしっ、うーん、わたしはぁ…」

「ズルいですよぉ、わたしばっかり話させてぇ…
 あの夜もぉ雨だったしぃ、今も連続して台風発生してるからぁ、タダでは済まなかったぁはずですょねぇ…」
 と、ズバリ、核心を突かれてしまったのである。
 さっきまでの絶妙な彩ちゃんの語りのせいの心とカラダの疼きと、騒めきのせいもあったのだ。

 わたしはつい、あの夜の、久しぶりの
『BarQuattro バークワトロ』
 のマスターとの再会と、今までの流れからの、そして一夜の出来事の話しをしてしまったのである…

「うわぁ、素敵ぃ…」

「ええー、素敵かなぁ…」

「うん素敵な話しじゃないですかぁ…」

「そうかなぁ…」 

「はい…
 それにぃ、これからはこんな雨の降る夜には迷走したりぃ、彷徨わなくても済むじゃぁないですかぁ…」
 と、至極、最もな意見を言ってきたのである。

 だが、実は、わたしは、次の日の夜に、もっと運命的な再会をしていたのである…






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