雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
64 変則的な三者面談
「うん、なんか奥様が相談があるって…」
「うん、そうか…」
「なんか聞いているの?」
「いや、でも多分、美香の進路の事なんじゃないのかな」
「やっぱ、そうなんかなぁ…」
「うん多分な…」
わたしはこの時点では、美香ちゃんの将来の進路については関係ないと思っていたのだ。
だって、全日本アンダー15選抜に選ばれたのであるから、全国の強豪高校からスカウトが沢山来る筈であるからだ…
「ただ、内容は知らない」
そう言ってきた。
多分、本当に知らないのであろう。
何しろ、ほとんど家族団欒はしていないからであったから…
その事はよく知っている。
だが事実は違っていた。
かわいい一人娘の大切な将来の進路についてなのである、知らん顔はさすがにしていなかったようなのだ…
だがこの時点でのわたしは何も知らなかったし、予想さえもしていなかった。
でも確実に、別れの足音が、小さいながらも近づき始めていたのである…
そしてこの日は珍しく共に過ごしてくれ、用事があるからと昼前には出ていった。
それにはなんとなく引っ掛ったのだがそれは深く考えなかったのだ。
それよりもわたしには2週間ぶりの洗濯と掃除が貯まっており、そっちの方が気になっていたからである。
そしてそれらを終わらせ、約束の時間にステーキハウスを訪れた…
「こんばんは……あっ」
なんとそこには奥様と共に浩司も居たのである。
「こんばんは、ゆり先生…」
そう浩司は挨拶をしてくる。
「あ、は、はい、マスター…」
わたしは浩司の事を、人前では他のお客様と同様に『マスター』と呼んでいたのだ。
それは彼がわたしを『ゆり先生』と呼ぶのと同じ意味であった。
「あ、美紀谷先生、わざわざすいません…」
そして奥様も、そう挨拶をしてきたのであった…
それは美香ちゃんの進路についての両親との変則的な三者面談の様なカタチといえたのだ。
ただ一つだけ違うのは、その父親とわたしが『不倫』の関係である、という事であった…
そしてわたしの胸は
ザワザワと騒めき…
ドキドキと高鳴り…
ヒリヒリと背徳感と罪悪感に昂ぶってきていたのである…
だが、しかし…
目の前に一緒にいる浩司の目も昂ぶりの輝きをしていたのだ…
彼もまた……
「うん、なんか奥様が相談があるって…」
「うん、そうか…」
「なんか聞いているの?」
「いや、でも多分、美香の進路の事なんじゃないのかな」
「やっぱ、そうなんかなぁ…」
「うん多分な…」
わたしはこの時点では、美香ちゃんの将来の進路については関係ないと思っていたのだ。
だって、全日本アンダー15選抜に選ばれたのであるから、全国の強豪高校からスカウトが沢山来る筈であるからだ…
「ただ、内容は知らない」
そう言ってきた。
多分、本当に知らないのであろう。
何しろ、ほとんど家族団欒はしていないからであったから…
その事はよく知っている。
だが事実は違っていた。
かわいい一人娘の大切な将来の進路についてなのである、知らん顔はさすがにしていなかったようなのだ…
だがこの時点でのわたしは何も知らなかったし、予想さえもしていなかった。
でも確実に、別れの足音が、小さいながらも近づき始めていたのである…
そしてこの日は珍しく共に過ごしてくれ、用事があるからと昼前には出ていった。
それにはなんとなく引っ掛ったのだがそれは深く考えなかったのだ。
それよりもわたしには2週間ぶりの洗濯と掃除が貯まっており、そっちの方が気になっていたからである。
そしてそれらを終わらせ、約束の時間にステーキハウスを訪れた…
「こんばんは……あっ」
なんとそこには奥様と共に浩司も居たのである。
「こんばんは、ゆり先生…」
そう浩司は挨拶をしてくる。
「あ、は、はい、マスター…」
わたしは浩司の事を、人前では他のお客様と同様に『マスター』と呼んでいたのだ。
それは彼がわたしを『ゆり先生』と呼ぶのと同じ意味であった。
「あ、美紀谷先生、わざわざすいません…」
そして奥様も、そう挨拶をしてきたのであった…
それは美香ちゃんの進路についての両親との変則的な三者面談の様なカタチといえたのだ。
ただ一つだけ違うのは、その父親とわたしが『不倫』の関係である、という事であった…
そしてわたしの胸は
ザワザワと騒めき…
ドキドキと高鳴り…
ヒリヒリと背徳感と罪悪感に昂ぶってきていたのである…
だが、しかし…
目の前に一緒にいる浩司の目も昂ぶりの輝きをしていたのだ…
彼もまた……