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雨の降る夜は傍にいて…

第7章 五月雨(さみだれ)

 1 元カレの今…

「みっき…だよな?」
 と、突然、後ろから男性の声が聞こえたのだ。

「えっ…」
 わたしは突然仇名を呼ばれて驚き、後ろを振り返る。

「あっ…」

 そこには…
 大学3年秋の元カレの『山中 遼』が微笑みを浮かべて立っていた。

「あ、えっ、り、遼…ちゃん?…」

「うん、そう、俺、久しぶり…」

 約6年振りの再会であった…


 山中 遼…

 彼は同じ大学の同級生であり、大学3年秋から大学4年の秋までの約1年間付き合った元カレである。
 そして野球部であり、元ドラフト候補の『東京6大学野球』のスーパースターであったのだ。

 確か、ドラフト指名を蹴って社会人野球に進んだはずだ…と、記憶していたのだが。

「ええ、何で?…」
 何でここにいるんだろう?…

「実は俺はさぁ、今、○△学園高校野球部の監督してんだよ」

「えっ、そうなのっ」
 わたしはそれを聞いて驚いた。

 ○△学園高校…
 それは埼玉県の私立高校で、野球ではわたしが知っているくらいの超有名高校なのである、そして強いのは野球だけではない
 男女バスケット…
 男女サッカー…
 男女バレーボール…
 バトミントン…
 ラグビー…
 剣道…
 柔道…
 ウエイトリフティング…
 相撲…
 等々、スポーツほぼ全般が全国有数の強さを誇り、そして確か最近はブラスバンド、ダンス、書道…文化系も、また、進学クラスも有名な物凄い私立高校なのである。

「そ、そうなんだ…、え、いつからなの?」

「うん、去年から…」
 
 当時ドラフト4位で某プロ球団に指名されたのだが、大学時代の怪我を理由にプロ入団を断り、某有名社会人野球部に入社したそうなのだが、四年目に怪我が再発し、退社をし、紆余曲折あったのだが、憧れていた指導者になった…
 と、簡単に話してくれた。

 ちょうどドラフト前に別れてしまったので、その後の彼の事は全く知らなかったのである…





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