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雨の降る夜は傍にいて…

第7章 五月雨(さみだれ)

 2 過去の栄光(1)

「春先にたまたま偶然さぁ、女子バスケの監督先生と話す機会があってさぁ…」
 その時にわたしの事を知ったそうなのだ…

 今やわたしの高校は、元アンダー15の全日本のエース大塚美香の存在により、関東地区では名前が売れていたのである。

「いやいや、みっきも元全日本だろうが…
 ウチのバスケの監督先生もみっきの事も知っていたぜ」
 まだわたしは、その○△学園高校とは対戦も交流もなかった、だからその監督先生の事は知らない…

「同世代のプレイヤーならみっきの事知らない人いないって…云ってたよ」

「え、そ、そうなの…」
 少し恥ずかしかった。
 
 そして、それはもう…

 そう、それはもう8年前に完全に終わった過去の栄光であるから…

 そして今更、そんな話しをされると、ウズウズと、過去の再起不能となった原因の怪我の傷痕が疼くのである。

 過去の栄光…


 再起不能の怪我…

 それはまた、この目の前にいる6年振りの再会をしている元カレである、山中遼との付き合うきっかけでもあったのだ。

 そう…

 過去の栄光か…

 
 今から約10年を遡る…

 わたしは東京6大学と云われる私立大学にスポーツ特待生として入学した。

 当時わたしは、アンダー13カテゴリーから始まる全日本選抜に12歳から選ばれていた、バスケットエリートといえた存在であったのだ。
 そして高校時代の恩師の絡みと、大学の監督先生がその当時の全日本アンダー20カテゴリーのアシスタントコーチをしていたという関係もあり、その大学に入学したのである。
 だが、その大学はわたしの学力では絶対に入学できない高偏差値の大学でもあり、わたし自身も嬉々として入学したのだ。
 
 


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