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雨の降る夜は傍にいて…

第7章 五月雨(さみだれ)

 10 そして…

 わたしはその後、日常生活に支障がない程度にとりあえず回復をするとリハビリから逃げたのである。
 全てが嫌になっていたのだ。

 歩けるならば、もういいじゃん…
 そしてヤケになっていた。

 もうバスケットは二度と出来ないんだから…
 そして、今更、他のスポーツになんて全く興味もないし、ヤル気も起きない。

 だから…
 こうして普通に近く歩ける様になれれば十分であった。

 今までしてこなかった事をしよう…

 わたしは必死に、そう自分に言い聞かせ、絶望の心を誤魔化し、リハビリをバックレて…
 そして、街に出たのだ。

 お洒落をしよう…

 綺麗で、可愛くて、流行りの、お洒落な服を着て…

 髪を伸ばして…

 化粧をして…

 そして…

 恋をする…

 周りに沢山いる、普通の女子大学生になるんだ…

 そう心に決めた。

 幸い、例えスポーツ特待生として大学に入学したからといえ…

 怪我によってそのスポーツが出来なくなり、退部したとしても…
 大学はクビにはならない。
 そしてわたしの大学は、ある意味、一流ブランドに匹敵する大学なのである。

 そして、それはつまり、一流ブランド大学の女子大学生という事になり

 世間では…

 街では…

 持てはやされる…

 モテモテな女子大学生であるのだ。






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