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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 2 臨時採用教員

 わたしは小学校3年のミニバスケットから始まり、大学3年の春頃の怪我により再起不能になるまで、一流といえるバスケットプレイヤーであった。
 小学校6年生から県代表選手に選ばれ、全日本アンダー13選抜から始まり、大学2年までは常に全日本アンダー某に選抜されていたのだ。

 だが、大学3年の春、5月に、前十字靭帯断裂及び半月板損傷、そしてそれに伴い膝関節の軟骨損傷等の大怪我をしてしまい、選手生命が突然終わりを告げたのである。
 そして、それまで挫折しらずのバスケットボール中心の生活、学生生活、将来展望であった訳であるから、正に天国から地獄に堕ちたような衝撃を受けてしまったのであった。

 それから約1年半、そのショックから自堕落な生活に陥り、そして未来も、将来も全く見えなくなる程の迷走をし、彷徨っていたのだが、あるきっかけで再び恩師の先生と再会し、紆余曲折あってこの私立の母校バスケ部のコーチ就任と臨時採用教員なのである。
 実質はバスケットボール部のヘッドコーチと、体育館の管理運営職員が仕事なのであるが、週1回、3時間程、体育教師もやる事になっていた。

 ヘッドコーチはヤル気満々なのであるが、教師としての体育の授業は憂鬱であった。
 まだ体育だから少しはマシなのだが、人前で話すという事が苦手であり、教育実習の時は本当に苦労をしたのであった。

 だが、ことバスケットボール指導に関しては人前だろうと、何だろうと平気なのであるが…

 とにかく毎週水曜日の3時間だけがとにかく憂鬱であったのだ。

 そしてこの3時間の授業の内の1時間に、わたしは運命の出会い、いや、再会をしてしまったのである…




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