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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 4 再会

「木村くん、いるの…」
 
「あ、はい…」

 わたしはその木村くんの顔を見て驚いて、いや、驚愕してしまった。

 ゴロゴロ、ゴロゴロ…

 その時、西の空から春雷の雷鳴がとどろいてきた。
 その雷鳴の響きは正にわたしの心の中に鳴り響く衝撃の音響と同じようであったのだ。

「えっ、ま、まさか…」

 ドキドキドキドキ…


 えっ…

 まさか…

 そ、そんな、まさか…

 昔、亡くなった元彼のただしがいたのだ。

「え、た、ただし、たーちゃん…な…の…」


「いえ、違います…」
 木村啓介くんは微笑みながらそう呟く。

「だ、だよね…」

 そうだ、そんなことあるはずがない…


「でも、ただしの弟の啓介ですよ、ゆり姉ちゃん…」

 再び外では春雷の雷鳴と、激しい夕立の豪雨の音が鳴り響く…

 ゆり姉ちゃん…て…


「えっ、あ、あの啓ちゃん…なの…」

 目の前の木村啓介くんはニッコリと微笑みながら、頷いた。


 ゴロゴロゴロ、ザザザー…

 雷鳴と豪雨の音が静かな保健室に響いていた。


 そうなのか、啓ちゃんか…

 でも…

 そうか、あれから7年か…

 確かあの時は10歳だったか…

 あれから7年、17歳か…

 7年という時の経過は、幼い児童を青年に変えていた。

 7年振りの再会である。

 10歳が、17歳か…

 胸のドキドキが、ザワザワに変わっていく。


 そして想いが7年前へと還っていく…


 ただし、たーちゃん…

『たーちゃん……』



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