雨の降る夜は傍にいて…
第2章 春雷
25 ランニング
わたしは一応臨時採用教員として雇われているのであるが、あくまでもメインはこの今や県内屈指の古豪である女子バスケットボール部の顧問兼ヘッドコーチなのである。
そして教師としては週に僅か三時間の体育の授業しかないのであるが、その他に、このバスケ部専用の第2体育館の維持管理、保全も仕事として任されていたのであった。
午後7時過ぎ、練習が終わり、生徒達が帰った後に、この体育館の管理室でメンテナンス等の日誌やら、マニュアル等を読み、慣れない仕事の準備をするのが、赴任してまだ二週間目のわたしの日課になっていた。
そしてこの二週間ほぼ毎日、だいたい8時前位に戸締まりをして帰っていたのである。
そして今日も練習後にこの管理室でマニュアル等に目を通していると
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ…
と、二階通路を走る足音が聞こえてきたのだ。
うん、誰かいる、走ってるのか…
「もうバスケ部は帰ったはず…」
そう呟きながら二階通路を見上げる。
「あっ、啓介くんっ」
木村啓介が走っていたのである。
「はぁ、はぁ、はぁ、すいません、止めます…」
啓介くん、啓ちゃんは息を荒げながら、二階通路から降りてきた。
「どうしたの…啓ちゃん…」
「はぁ、はぁ、あ、今、啓ちゃんって言ったぁ」
「あっ…」
わたしは思わず口元を押さえる。
「はぁ、はぁ、ふうん、二人の時は、はぁ…」
「えっ、ま、まあ…」
「はぁ、ふうぅぅ、いいんだ、ゆり姉ちゃん…」
啓ちゃんは息を整えながらそう言ってきた。
「う、うん…」
つい、言ってしまったのだ。
「ところでどうしたの…」
「うん、なんか最近、キレがよくなくってさぁ…」
キレか…
さっきの加藤先生との会話が蘇える。
「そうかぁ、でもさ、オーバーワークもよくないわよ…」
「うん…」
啓ちゃんは汗を拭きながら頷いてくる。
キレかぁ…
ただしもよく言っていたなぁ…
わたしは一応臨時採用教員として雇われているのであるが、あくまでもメインはこの今や県内屈指の古豪である女子バスケットボール部の顧問兼ヘッドコーチなのである。
そして教師としては週に僅か三時間の体育の授業しかないのであるが、その他に、このバスケ部専用の第2体育館の維持管理、保全も仕事として任されていたのであった。
午後7時過ぎ、練習が終わり、生徒達が帰った後に、この体育館の管理室でメンテナンス等の日誌やら、マニュアル等を読み、慣れない仕事の準備をするのが、赴任してまだ二週間目のわたしの日課になっていた。
そしてこの二週間ほぼ毎日、だいたい8時前位に戸締まりをして帰っていたのである。
そして今日も練習後にこの管理室でマニュアル等に目を通していると
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ…
と、二階通路を走る足音が聞こえてきたのだ。
うん、誰かいる、走ってるのか…
「もうバスケ部は帰ったはず…」
そう呟きながら二階通路を見上げる。
「あっ、啓介くんっ」
木村啓介が走っていたのである。
「はぁ、はぁ、はぁ、すいません、止めます…」
啓介くん、啓ちゃんは息を荒げながら、二階通路から降りてきた。
「どうしたの…啓ちゃん…」
「はぁ、はぁ、あ、今、啓ちゃんって言ったぁ」
「あっ…」
わたしは思わず口元を押さえる。
「はぁ、はぁ、ふうん、二人の時は、はぁ…」
「えっ、ま、まあ…」
「はぁ、ふうぅぅ、いいんだ、ゆり姉ちゃん…」
啓ちゃんは息を整えながらそう言ってきた。
「う、うん…」
つい、言ってしまったのだ。
「ところでどうしたの…」
「うん、なんか最近、キレがよくなくってさぁ…」
キレか…
さっきの加藤先生との会話が蘇える。
「そうかぁ、でもさ、オーバーワークもよくないわよ…」
「うん…」
啓ちゃんは汗を拭きながら頷いてくる。
キレかぁ…
ただしもよく言っていたなぁ…