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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 35 ウィンターカップの前日…

 わたしはシャワーを浴びながら続けて自問自答していた。

 もわたしは教師なのだ…

 そして啓ちゃんはただしの弟とはいえ、今は体育を教えている教え子なのである…

 こんなことして…

 だが、わたしには心に浮かぶ想いが一つだけあったのだ。

 それを、今、いや、今夜、わたしはしようとしている…

 だが、いいのか、ゆり…

 いいのか…

 ジャー…

 シャワーの飛沫を浴びながら自問自答を続けていく。   

 ああ、あんな勢いで…

 いくら快感のスイッチが入ってしまったとはいえ…

 自分の弱さに呆れてもいた。

 だが…

 さっきの啓ちゃんの股間の盛り上がりが、ふと、脳裏に浮かんでくる。

 あんなに昂ぶっていた…

 今更ダメとも云えないし…

 そして心に浮かぶ想いを浮かべていく…

『ゆりさぁ…』

『たーちゃん、なぁに…』

『あ、あのさぁ…』

『うん…』

『ウィンターカップ終わったら、2~3日はオフになるんだろう…』

『うん、ええとねぇ、確か、12月号31日から1月3日までだったかなぁ…』

『その中のどれかにさぁ…』

『うん…』

『あ、あのぉ…』

『うん、なぁに…』

『あのぉ…』

『うん…』

『や、やらせて…』

『えっ………』

『や、やりたい……』

『………………』

『………………』

『う、うん…いいよ…』

 これは、ウィンターカップに出発する前日の会話であった。
 
 だが、この2日後に…

 ただしは…

 亡くなったのだ…






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