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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 38 7年間の想い

「電気消してよ…」
 シャワーから出たゆり姉ちゃんはバスタオル一枚を纏ってそう云ってきた。

 そして電気を消すと

 ゴロゴロゴロゴロ…
 春雷の稲光が一瞬、ゆり姉ちゃんを照らしたのである。

 あっ…
 
 バスタオルは外してあった。
 
 裸だ…

 ズキズキ、ズキズキ…

 初めて見る、生の女性のカラダ…
 いや、全てが初めてである。
 いくらキスは経験済みだとはいえ、経験してきたキスとは感触も、昂ぶりも、興奮も全く違っていたのであった。

 まるで大人と子供のキスの違いがあった…

 そして目の前には、あの7年前から、いや、7年間ずっと想い、昂ぶり続けていたあのゆり姉ちゃんが、ナマのゆり姉ちゃんが、しかもシャワー上がりの裸でいるのつである。
 そして俺にそのまま抱き付いてきて、口吻をしてきたのだ。

 ああ、ゆり姉ちゃん…

 心が震える、いや、蕩けてしまう。


 7年前、毎週水曜日にやってきて兄貴と愛し合っていたゆり姉ちゃん…

 聞こえてきたゆり姉ちゃんの喘ぎ声…

 浴室でカラダをこっそりと洗っていたのを覗いていて見えた、白いお尻…

 夢に見た、憧れの、いや、7年間憧れ続け、切望していたあのゆり姉ちゃんがこうして目の前にいて、そして、裸で抱き付いてきて、キスをしてきているのだ。

 ようやく、あの7年間の想いを、羨望の想いを、憧れを、乗り越えらりれる…

「啓ちゃん…」

「ゆ、ゆり姉ちゃん…」

 ゴロゴロゴロゴロ…

 春雷が、またゆっくりと遠退いていく…






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