無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「ゆ～すけっ」


　不意に名前を呼ばれたので振り返ると、いきなりスマホで写真を撮られた。


「どうしたの、美晴ちゃん」


　僕は目をパチクリさせて、目の前にいる幼馴染みの美晴ちゃんに声をかける。


「あのね、私の友達が祐介の写真欲しいみたいで」

「……」


　美晴ちゃんが僕の写真を欲しがったわけじゃないことにガッカリする。


「美晴ちゃんの友達が？」

「うん、隣のクラスの京子ちゃんなんだけどね」


　そう言って美晴ちゃんは、教室の扉から少し顔を覗かせている少女に手を振った。


「僕の写真撮ってなにするの？」


　僕はわざと聞いてみる。
　世間はバレンタインデー間近。そして僕含めて男共がソワソワする時期。
　隣のクラスの女の子が美晴ちゃんに頼んでまで僕の写真を欲しいだなんて、そりゃあもう……。


「ん～、内緒っ！」


　フフッと笑って美晴ちゃんは教室から出ていく。
　すると扉で待っていた京子ちゃんは嬉しそうな顔をして、美晴ちゃんと何やらスマホでコソコソやりだした。