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願望アプリ

第1章 願望アプリ

「祐介……」

「違うんだ、美晴ちゃん! 本当に僕は何も言ってな……」

「最 っ 低」


 ドスの効いた美晴ちゃんの声が、僕の胸に突き刺さる。


 最っ低、最っ低、最っ低……
 ずっとその言葉が頭の中でループする。


 冷たい瞳で僕を見る美晴ちゃんと、怒りを露にする京子ちゃんの姿が僕を囲んでグルグル回る。


 周りからは変態、キモいなど罵声を浴びせられ、群がる人混みの中には僕を嘲笑う中島の姿もあった。


「違うっ……僕じゃない! 僕はなにもしてないっ! 信じて、美晴ちゃん! 美晴ちゃん!」


 みんなの声がどんどん遠ざかっていく。
 何も見えないし、何も聞こえなくなった。





《祐介くん、祐介くん》
 
《あのね、美晴ね、祐介くんのことが大好きなの》


 今、僕の目の前には小学生の美晴ちゃんがいる。


「ああ……美晴ちゃん、僕も……僕もずっと美晴ちゃんが大好きだったよ。ずっと君に伝えたかったんだ。美晴ちゃん、大好きだよ……」


 僕は今とても幸せだ。
 大好きな君がいれば、もう何も望まない───。





(END)


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