願望アプリ
第1章 願望アプリ
「あっ……佐藤、ちょっと……ちょっといいか?」
動揺した担任とうっかり目が合ってしまった僕は、教室を出るなりすぐに先生から話しかけられた。
「さっきの会話聞こえてたと思うが、俺は断じてやましいことはしてないからな!」
「わかってますよ、先生。あれはたぶん願望アプリのせいですから」
「願望アプリ?」
「最近女子の間で流行ってるんですよ。好きな相手の姿を願望アプリで撮ると、相手そっくりのアバターが出てきて、ユーザーの願いを叶えてくれるそうです」
「なんだその怪しいアプリは……。ということは田中は俺を?」
「さあ、それはわかりませんが……ちょっと気を付けた方がいいかもしれませんね」
それだけ話すと、僕は回れ右をした。
そして教室に戻る前に、なんとなく隣のクラスを覗いてみた。
「なんか京子、雰囲気変わったね」
「変かな?」
「ううん、前髪パッツン可愛いよ」
僕は一瞬、目を疑った。
そこには僕の好きな美晴ちゃんとそっくりの京子ちゃんがいたからだ。
前髪パッツンも、肩までの長さの艶のある黒い髪も、美晴ちゃんが持っている鞄さえも同じキーホルダーがついていて全く同じだった。
「祐介くんがね、こういうの好きみたいで」
「!」
それは偶然なのか、たまたまなのか。
だって、ありえない。
僕が美晴ちゃんのこと好きなのは、誰も知らないのだから……。
動揺した担任とうっかり目が合ってしまった僕は、教室を出るなりすぐに先生から話しかけられた。
「さっきの会話聞こえてたと思うが、俺は断じてやましいことはしてないからな!」
「わかってますよ、先生。あれはたぶん願望アプリのせいですから」
「願望アプリ?」
「最近女子の間で流行ってるんですよ。好きな相手の姿を願望アプリで撮ると、相手そっくりのアバターが出てきて、ユーザーの願いを叶えてくれるそうです」
「なんだその怪しいアプリは……。ということは田中は俺を?」
「さあ、それはわかりませんが……ちょっと気を付けた方がいいかもしれませんね」
それだけ話すと、僕は回れ右をした。
そして教室に戻る前に、なんとなく隣のクラスを覗いてみた。
「なんか京子、雰囲気変わったね」
「変かな?」
「ううん、前髪パッツン可愛いよ」
僕は一瞬、目を疑った。
そこには僕の好きな美晴ちゃんとそっくりの京子ちゃんがいたからだ。
前髪パッツンも、肩までの長さの艶のある黒い髪も、美晴ちゃんが持っている鞄さえも同じキーホルダーがついていて全く同じだった。
「祐介くんがね、こういうの好きみたいで」
「!」
それは偶然なのか、たまたまなのか。
だって、ありえない。
僕が美晴ちゃんのこと好きなのは、誰も知らないのだから……。